希少石
2012年 01月 19日
あれ、これはもしかしたら、、という期待にどきどきしながらルーペを覗きます。
さて、皆様、なんの石だと思いますか?
透明で緑の石というと
エメラルド
ぺリドット
クロームトルマリン
プレーナイト
サボライト
オプションがいろいろとありますが、実は上記のいずれでもありません。
正解は、Demantoid Garnet デイマントイドガーネット というものです。
なーんだ! ガーネット???と一般の方は思ってしまいそうですが、ジェモロジストの方には学校で習ったものの実物は見たことが無い、おそろしく珍しく高価な石として頭に残っていると思います。
Demantoidという名前はオランダ語が起源で、ダイヤモンドのように輝き、この上なく美しい宝石、という意味なんだそう。 この輝きは他の宝石には類を見ないとまで言われているんですよ。 そして、そんな石ですから驚くほどお値段が高いということでも認識されています。
何がそんなに美しいのか?と私の撮った写真からでは理解しにくいかもしれませんが、RI、光の屈折率が非常に高い為石の光の反射がとても早いということになり、それが驚くほどシャープな光を出す結果となっています。
また、ダイヤモンドに見られるように石に入射した光が石の内部で屈折反射を繰り返し、光を構成するそれぞれのスペクトルに分解されて”虹色”を示す効果が見られることでも知られています。
そして特徴的なのがインクルージョンです。 Horsetailインクルージョンといって馬の尻尾のような内包物があるのす。 宝石のインクルージョンはナチュラルの証でもあるのですが、実は宝石の透明度を失わせる邪魔なものというのが通常の考え!
ところがデイマントイドはこのインクルージョンまでも愛されて、形の美しいHORSETAILがあると更に石の価値が高まるのです。
もともと1888年のロシアのウラル山脈で発見されて、その後、ヨーロッパのジュエラーから大喝采を浴びて世に出たデマントイドなのですが、なにしろ希少でいつの間にか姿を消してしまいました。
美しい、高価、、、というよりも幻というくらいに希少な石でした。
私もG.I.A.の授業で見たものの、その後一度も本物を見たことがありませんでした。
ところが、目の前にその石があるではありませんか。
これはたぶんアフリカのナミビア産だと想像されます。 実は1990年代にナミビアで宝石品質のデイマントイドが確認されています。 その美しさはロシア産に見られるようなシャープさとファイアーがあり、いち早く希少石として大切に取り扱われてきたようです。
最近、日本のネット販売で”幻の宝石”としてデイマントイドが出回るようになったのはこうしたアフリカ産の出現によるものだと思います。 もちろん幻のロシア産のような異常な高額で取引されているわけではありません。 しかし、これもいずれ掘りつくして無くなることでしょう。
天然の宝石は数千年、数万年?もの年月を経て私の目の前に来ているのです。 昨日今日にできたもの、合成された石とはその神秘性とパワーが全く異なるというのは簡単に理解できるかと思います。 本当にしみじみと自然の素晴らしさを感ぜずにはいられません。
そして、目の前のデイマントイドとの出会いにちょっと嬉しくなります。
これは迷わずリングにしたいところです。 シンプルで石の美しさのみを強調した華奢なリングを作りたいと思います。
さておき、これからマイクロスコープで観察するところですが、、、、、、実はロシア産とナミビア産には大きな違いがあるのです。 ナミビア産の方が美しい?
実はインクルージョンが殆どないのです。
あのHORSETAILインクルージョンが見られることが無い、と言われています。
コレクターからすると実はちょっと残念ですね。
さてさて、このロットの石たちは馬の尻尾がみえるかな???
もし見えたら、幻のロシア産、、どきどきわくわくしますね
それでは!
(Memo)
Demantoid Garnet
Gemstone family of Garnet
Variety of Andradite