カニかまぼこが本物の蟹でないことは誰でも知っていて本物よりもうんと安くて美味しいからアメリカでもヒットしているんですよね。 これははっきりとしていて”偽物だったの?!”と怒る人はいないでしょう。
カスピ海のキャビアは小さい瓶にはいっていても凄い値段ですけれど、ランプフィッシュの卵のキャビアもどきは見た目もお味もキャビアそっくりさん、、でもお値段がうーんと安いのでこれでいいかな?と私などは満足してしまいます。 これを買ってから”偽物だった。騙された”とは誰も思わないでしょう。
では宝石はどうでしょう?
宝石の集積地であるバンコクは石が溢れていますけれど、その価格はあたりまえですが本物は高く、偽物はけた違いに安いです。
例えばルビーなら通常は原石を焼いてからカットするのは普通のことで焼くことは処理ではありません。 なぜならほとんどのルビーはただ焼いたからって綺麗になるものではないからです。 焼いたルビーも焼かなかったルビーもナチュラルルビーです。 その価値は大きさだけでなくインクルージョンの有無、色、カットなどの綺麗さで買う側が評価します。 プラス大きさが1ct、2ct単位となると価格もバンバンと上がっていきます。 綺麗で大きいナチュラルルビーは価値のある宝石です。
では処理ルビーはどうでしょうか? 処理ルビーとは普通に焼いても使えないクラックがいっぱいに入って白っぽく見えるルビーの原石を鉛ガラスと一緒に焼きます。 高温で鉛ガラスが溶けてルビーのクラックの中に入ってゆきます。 ガラスがクラックに入り込むことで見違えるように透明なガラスルビーが出来上がります。 これによっていくらでも綺麗なルビーが作れてしまうわけですから値段は1ctいくらとかという問題ではありません。なぜならこれは宝石ではありません。(綺麗というのは一見で、実は石の表面をルーペで見ると無数の蜘蛛の巣状のクラックが見えます)
バンコクでははっきりと区別されていているのでゴールドジュエリーに含侵処理されたルビーがセットされていることはめったにありません。
さて、日本はどうなんでしょうか? 18Kにセットされた10ctの一見綺麗なルビーが20万円で売られていたら”安い!”と感じるでしょうが、常識のある人ならへんだとすぐにわかるでしょう。。。。
ありえない
でも、これが有名デパートなどで売られていたらどうでしょう? それがどんな処理をされているかという説明を受けてもピンとこず本物のルビーであるという言葉に気を取られてすっかりとお買い得感に浸ってしまうことだと思います。
宝石の表示はとてもトリッキーでわかりずらい、、、宝石の専門家ならともかく一般の方には表示がどんな意味をあらわしているのか知る由もありません。
ルビーについてはお客様からの質問で最も多いものです。 高い買い物をするときはセールストークだけに頼らずご自分の本物を見極める目を開いておく必要があります。
翡翠もしかり、、、いつも”A翡翠です””本物です”と言い続けなければならないこの頃ですが、以前は翡翠は本物の硬玉か、偽物と言われる軟玉かの2つでした。 ところが染色、含侵というトリッキーな処理翡翠が中国でつくられるようになりました。
処理翡翠は翡翠には違いありません。
しかし、処理した翡翠はもはや宝石ではなく材料だということを知らない日本人は多いです。
ジュエリー上級者の方からでさえもルビーと処理翡翠についてのご質問は本当に多いので、以前にもブログで書きましたが再度きょう書かせていただきました。
さて
話は変わりますが、
私は昨年から買おうか買うまいか迷っているバッグがありました。
それは本物のステイングレーとクロコが使われていて大きさがちょうどパスポートやお財布などなどが入るもので、ずっと探していたサイズです。
何か月も迷っていたのはお値段が(私の予算では
)ちょっと高かったからです。
ステイングレーはバンコクでも扱っている業者は多く、みなさんご存知のクロコダイルもバンコクの近くで養殖製造しています。
そういったわけで価格をいろいろ比較したのですが、いかんせん、、他社に比べてちょっと高いと感じていました。
ですがデザインのオシャレさと発色の良さは断トツでした。、、、迷う迷う、、3か月考えました。
で、昨日やっと購入しました。
なぜ決断したかというと今は”安い”と感じているからです。
革の質や作りが断然違うとわかったからです。
みなさん高級バッグの内側ってどんなになっていますか? あのルイヴィトンだって外側は特殊なビニールのような(ごめんなさい、、素材名知らないんです)ものでも内側はちゃんと牛側になっていますよね。
外側が100年使えるとうたっていたら内側がナイロンやビニールでは10年持ちませんものね。
購入決定したAknasさんのバッグの内側はこうなっていました。
内側は全面牛革でポケット部分にクロコがあしらわれていました。しかもとても軽い。
これならずっと使えます。 これぞ本物
そう納得したらとても安いものに思えました。
しかし、この素敵なバッグを扱っているAknasさん、、Silom Villageに入っているのですが最近お店を半分に縮小しました。
お店のスタッフに聞いたところ”景気が悪いから”。 向かいにはなんちゃってバッグを売る店がありそちらにお客さんがどんどんと吸い込まれていってしまうのだとか。
本物の良いものを見る目を持っている人は少数派ということなんでしょうか。。
残念ですね。
本物は1年後に飽きても10年後にまた使えてずっと愛用できるという良さがあり宝石も共通しています。 でもポイントは”本物を持っているという自己満足”ではないでしょうか? どこにでも堂々と着けていける持っていけるという満足感こそが本物を手に入れることの意味だと思います。
それでは!